スポーツ障害を防ぐためにまず、若い頃との違いを知る
運動を始めるにはいい季節がやってきましたね!
肥満の解消や、血圧や血糖値の改善のために、運動にチャレンジしようという方も多いのではないでしょうか。
しかし、いきなり運動を始めるとケガをしたり、体調を崩すなどの「スポーツ障害」を起こしかねません。
中高年の運動では外傷に加えて、腰痛や膝痛などの慢性疾患、
あるいは心筋梗塞などの突発的な病気にも十分に配慮しておく必要があります。
とくに注意したいのは、自分の体力をかえりみず無理をしてしまうケースです。
若い頃と同じつもりで、つい頑張りすぎてしまうのです。
若い頃にどれだけ運動していたかは関係ありません!
楽しく安全に、かつ効果的に運動を続けるために、まず若い頃との違いを自覚することが大切になってきます。
<青年期と中高年期の主な相違点>
●筋力などの低下
筋肉量や骨量は20歳代をピークに低下し、体を支える力が全体的に弱くなっています。
いきなり強い運動を始めると筋肉痛や腰痛、捻挫、骨折などを起こすことがあります。
●柔軟性の低下
関節やじん帯、腱など、体のクッションとなる部分が硬くなっています。
強い力が加わったり、体をひねったときに対応できず、膝やアキレス腱などを傷めることがあります。
●心肺機能の低下
心臓や肺の働きが低下し、動悸や息切れを起こしやすくなっています。
とくに動脈硬化がある場合には血管に大きな負担がかかり、心臓疾患などの原因ともなります。
そのほか、バランス感覚の低下、疲労回復の遅れなどもみられます。
ウォーミングアップとクーリングダウン
スポーツ障害を防ぐための基本は、
ウォーミングアップ(準備運動)とクーリングダウン(整理運動)をきちんとすることです。
ウォーミングアップにはケガの予防だけでなく、
血流を良くしたり呼吸量を増やしたりして、運動能力を高める効果があるため、
それだけ運動時の体への急激な負担(ショック)を減らすことになります。
中高年になると体全体が硬くなっていることが多いため、とくにストレッチをしっかり行いましょう。
ラジオ体操でもいいので、体を伸ばすことを意識してゆっくり行うと、ストレッチ効果があります。
一方、運動が終わったあとには、クーリングダウンを必ずしておきます。
運動をすると、筋肉には疲労物質(乳酸など)が蓄積します。
そのままではなかなか疲れがとれず、翌日まで影響しかねません。
クーリングダウンには、疲労回復を早める効果があります。
この場合も、ラジオ体操程度の軽い運動で十分です。
運動の種類や強度によっては、ひじや膝などが炎症を起こすこともあります。
その場合は早めに、炎症部分をアイシング(氷で冷やす)しておきましょう。
また、運動後はシャワーで汗を流すだけでなく、お湯につかるほうが疲労の回復は早まります。
筋肉を軽くもみほぐしておくと疲労回復効果が高くなりますよ。
寒さや暑さへの対策もしっかりと
屋外で運動するときには、寒さと暑さへの対策もしっかり考えておく必要があります。
寒い季節はもともと血圧が高めです。そのうえ早朝の屋外では、寒冷刺激を受けてさらに血圧が上昇します。
ウォーミングアップを入念にすることはもちろんですが、肥満気味の人や血圧が高めの人には早朝よりも、
体の温まっている日中や夜間の運動のほうが向いています。
とくに寒さの厳しい日は無理をせず、屋内の運動に切り替えるといった柔軟性も大切です。
また運動中は、定期的に水分補給をする必要があります。
熱中症になりやすい暑い季節はもちろんですが、冬でも汗をかいて軽い脱水状態になることがあります。
水を飲んでも体内に行き渡るには15分程度かかるので、早めに水分補給を。
吸収の速いスポーツドリンクを用意しておくのもいい方法です。
また汗をかいたままでいると、次第に体が冷えて体調をくずす原因ともなりますので、
下着を用意しておき、運動後は早めに着替えるようにしてください。
真夏には30℃を超すような炎天下はさけ、早朝や夜間の涼しい時間帯を選ぶこと。
運動中はこまめに休憩をとり、木陰などで休むこと。
疲れがとれない場合、翌日は無理をせずに休むといったペースにし、体調管理には十分に配慮することも大切です。